諸井誠 (1930 - 2013) は1960-70年代に邦楽器による作品を多数作曲していたが、本作《邂逅》は、1975年11月2日にNHK FMの「現代の音楽」において放送されて以来顧みられていなかった。生前の諸井から手渡された、マスターからのコピーと思われるテープを使用し、初リリース！OMEGAとしては「赤い繭」「くさびら」に次ぐ３作目だが、電子音楽ではないので、わざわざ新シリーズを設定した！

副題は「能管・打楽器及びコントラバスのための協奏的５章」となっており、能管を中心とした邦楽器群に加えて、現代音楽の打楽器演奏の第一人者山口恭範、NHK交響楽団のコントラバス奏者で現代作品演奏のLPやCDもある田中雅彦が参加している。《邂逅》の題名は、邦楽と異質な楽器の出会いを意図したようで、高音域の能管に対する低音のコントラバス、邦楽の野太い太鼓や鼓に対するグロッケンやスネアドラム、鈴など現代パーカッションの多彩な音が、全体の音響的色彩を広げる効果を演じている。この種の試みは過去にいくつかあるが、本作での単なる出会いにとどまらない絶妙な融和感は諸井の邦楽器作品の真骨頂といえ、聴けば聴くほど深い味わいに惹き込まれる。

（試聴/English）

型番	Edition OMEGA POINT
販売価格	2,600円(税込)
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